基礎研究

肺がん研究者の挑戦:有名ジャーナル編集長との直接交渉と学び

Road to Publication: Directly Pitching My Paper to the Chief Editor

先日、某有名ジャーナルの編集長、教授Cが自分の大学で講演を行うために、アメリカから来日されました。

その方は非常にご高名で、私の研究分野では知らない人はいないのではないか、と思われるほどです。

恐れ多くも、講演会の前日に私は自分の論文をその有名ジャーナルに投稿したばかりでした。

それに気づいた私のラボのボスYが「直接会って論文をアピールしよう!」と思いつき、私もいい人生経験になると考えて、その話に乗っかることにしました。

当ラボの大ボスBにお願いし、非常に幸運にも講演会前に5分ほど教授Cのお時間を頂けることになりました。

ここのアピールに成功すれば、論文が通るだけでなく、早々に自分の留学先も決まってしまうのではないか!と私は胸の高鳴りを感じていました。

 

準備したこと

直接交渉の日は非常に緊張し、他の仕事がろくに出来なかったのを覚えています。

ひとまず、自分の論文を約3分で発表できるようにパワーポイントのスライドを作成し、それを印刷しました。

また、論文原稿も直接渡せるように準備しておきました。

 

いざ、直接交渉!

私はちょうど自分のプロジェクトを学会の英語口演で発表する準備をしていたので、系統立ててアピールすることが出来たと思います。

そして、受けた質問にも幸い答えることが出来ました。

しかし、教授Cの反応は終始「hmm, good.」という感じで少し控えめな印象だったのを覚えています。

アピールの最中に講演の準備が始まってしまったため、具体的なコメントを頂くことは出来ませんでしたが、論文原稿を直接読んで頂ける手筈となり、その場は難なく終了しました。

紙媒体では荷物になるため、講演会後にメールで論文を送っておきました。

しかし、メールでは「Thanks!」と返信がきたものの、残念ながらその後は音沙汰なく、そのまま1週間後にeditorial kickとなりました。。。

 

まとめ

自分でも某ジャーナルのacceptは厳しいと考えており、やはり、直接chief-editorにアピールしたからといって結果は変わらないようでした。

論文のクオリティが一番大事なのは、言うまでもありません。

論文を色んなジャーナルにアクセプトしてもらうにあたって、リジェクト後にも食い下がって「編集者と直接交渉したら、もう1回レビューにまわって上手くいった」などのケースを聞いたことがあるかもしれません。

そんな時のためにも、今回のように編集長と直接交渉、さらには、メールのやりとりが出来たことは非常にいい経験でした。

何よりも今回の経験を通して、大御所を前にしても物怖じしないメンタル強さを少なからず養えたと思います。

今後もめげずに、自分の研究分野の海外PIが学会などに来た際には、積極的に関わっていきたいと思います。