レビュー記事

【書評】「やり抜く人の9つの習慣」:目標達成&意志力アップの実践ガイド


最近、立て続けに読書のレビューをしてきましたが、今回は『やり抜く人の9つの習慣』という本を読んでみました。

心理学の研究をベースに具体的なノウハウが詰まっており、「どうすれば最後まであきらめずにやり切れるのか?」という疑問にしっかり答えてくれる印象でした。これまでと同様、私がとくに参考になったと思ったポイントをご紹介していきます!

*この記事では、作者が唱える「9つの習慣」と私が挙げていくポイントは1:1対応していないのでご注意下さい。

この記事はこんな人にオススメ!

  • 立てた目標をいつも途中で諦めてしまう
  • モチベーションをうまく維持できない
  • 失敗を恐れてチャレンジに踏み出せない
  • 効率的・戦略的にスキルアップを目指したい

効果的な目標設定の方法(p13-p17)

具体的な目標 × 障害の特定 × 行動計画

成功する人々は、目標設定の段階から「単なる願望」では終わらない工夫をしています。著書では、以下の3ステップが重要だと説かれています。

  • 具体的な目標設定
    例:「英語力を上げたい」→「3ヶ月後にTOEIC800点を取得する」
  • 実現への障害の特定
    例:「通勤時間が長くて勉強時間が取れない」「仕事で疲れて夜勉強する気力がない」
  • 行動計画の策定
    例:「毎朝30分早く起きて英語学習に充てる」「通勤電車では必ず英単語アプリを使う」
    あらかじめ障害を洗い出したうえで打ち手を用意しておけば、挫折を防ぎやすくなります。

メンタルコントラストで「今の自分」と「理想」を比較する(p17)

「成功した時の自分と今の自分(メンタルコントラスト)を想像することで、『今の自分に足りないものは何か』『何をすべきか』がはっきり自覚できる」と語られています。

  • ただ理想を思い描くだけでは行動につながりにくい。
  • 現在とのギャップをあえて意識することで、具体的なアクションが生まれる
  • 「こんな自分になりたい」というポジティブなビジョンだけでなく、「今の自分にはどんな課題があるのか」をリアルに把握することで、一歩を踏み出しやすくなります。

現実的な楽観主義のすすめ(p48)

現実的な楽観主義とは、「成功することを信じているが、目標達成が簡単ではないことを意識し、それに相応しい努力をする人。」のことを指します。本書では、「根拠のない楽観」だけでは挫折しやすいことが指摘されています。大切なのは、以下2つを両立させる姿勢です。

  • 楽観視:成功できる可能性を信じ、前向きに行動する
  • 現実視:目標達成に必要な困難や準備をしっかり認識する

あらかじめ大変さを理解していれば、「こんなはずじゃなかった…」と投げ出すリスクが下がります。

失敗は「学び」と捉える(p58, p61)

「失敗してもいい」「失敗なんて何でもない」と考えると、失敗確率は実際に低くなる。

失敗を“悪いもの”として捉えるほど、実は人は本来の力を発揮しにくいと言われています。逆に、「失敗しても経験値が増えるだけ」と考えられれば、恐れが薄れてチャレンジしやすくなり、結果的に成功確率も高まるようです。

意志力は有限、だからこそ上手に温存・回復

意志力も体力と同じように「使えば減るもの」です。職場や家庭でストレスを感じたり、意思決定が多い仕事をした後は、意志力が消耗している可能性があります。

効果的な方法
  • 目標達成をしやすい環境づくり:誘惑から遠ざかる、作業スペースを整えるなど。
  • 一度に取り組む目標を絞る:同時にたくさんやろうとすると意志力が消耗しやすい。
  • 誘惑を減らす環境整備:たとえば、お菓子を買わない・SNS通知をオフにする。
避けるべき方法
  • 複数の大きな目標に同時に挑戦する
  • 段階的な悪習慣の改善:ダラダラ引き伸ばすと意志力も削られる。スパッと誘惑を断ち切ることが重要。
  • 意志力に頼りすぎる計画:根性とガッツだけに任せない。

行動変容のための実践的アプローチ

行動そのものを変えたい場合は、「〇〇をやめる」という否定形ではなく、「代わりに何をするか」という肯定形の目標が効果的です。たとえば、

× スマートフォンの使用時間を減らす
○ 21時以降はスマートフォンを別室の充電器に置く

やめたい習慣に意識を向け続けると、かえって執着が増すことも。具体的な代替行動を設定するほうが実践しやすく、達成感も得やすいとされています。

興味を持って取り組む(p64)

興味のある課題に取り組む人は活力の高い状態を維持できる

人は「面白い!」と思えることなら、自然とモチベーションが湧いてきます。もし退屈に感じる作業でも、「なぜこれは自分にとって価値があるか」を見出すだけでパフォーマンスは大きく変わるもの。将来的な役立ち方や社会的な意義を確認することがカギとなるでしょう。

助けを求めることを恥ずかしがらない(p68)

上手くいっている人に助けを求める→恥ずかしがらずに助けを求める。

困ったときに他人を頼れない、という方も多いですが、本書では「その姿勢こそがあなたの真剣さを示し、周囲の協力を得やすくする」と繰り返し提案されています。周りを巻き込めば、新しい視点やサポートを得られ、結果として目標達成がスムーズになるはずです。

モチベーション維持のコツ

目標達成の過程で一番大変なのが、モチベーションの維持ではないでしょうか。本書では、次のような方法が推奨されています。

  • 小さな進歩を認識し、祝福する:どんなに小さくても「今日できたこと」を客観的に振り返る。
  • 定期的に自己の成長を振り返る:週や月ごとに「どのくらい進んだか」を見える化するとやる気UP。
  • 必要に応じて専門家や先輩にアドバイスを求める:一人で悩むよりも早く解決策にたどり着ける。ときに他者の視点を借りることで、自分では気づかなかった強みや改善点が見えてくるものです。

まとめ

『やり抜く人の9つの習慣』は、私たちが「最後まで諦めずにやり抜く」ためのアイデアをたくさん詰め込んだ一冊でした。特に印象に残ったのは、目標設定の具体性や意志力の使い方など、“根性論ではなく科学的知見に基づくアプローチ”が中心になっているところです。

これらを意識して取り組むだけでも、目標の実現にぐっと近づけるのではないでしょうか。もし興味を持たれた方は、ぜひ原著に目を通してみてください。あなたの目標達成を一段と後押ししてくれるはずです。

(参考文献)
書名:『やり抜く人の9つの習慣』
著者:ハイディ・グラント・ハルバーソン (Heidi Grant Halvorson)
翻訳:林田レジリ浩文
出版社:ディスカヴァー・トゥエンティワン
発売日:2017/6/22
※本記事は、『やり抜く人の9つの習慣』から得た学びを、私なりの視点で解釈し、実践的な視点を加えてまとめたものです。正確な内容や全体像は原著を参照ください。