研究留学

研究者必見!海外ラボ採用を勝ち取るカバーレターの書き方

Writing Impactful Cover Letters for Overseas Labs

若手研究者B
若手研究者B
先生、困っています。たくさんのラボにコンタクトを取っているのに、どこからも返事が来ないんです。
こるく31
こるく31
心配しないで。もしかして、ラボのPIたちが君のメールを見て、あまりの才能に嫉妬しているパターンかも。
若手研究者B
若手研究者B
本当ですか?!
こるく31
こるく31
ごめん、それは冗談。実際には、カバーレターとCVにちょっとした工夫が必要かもしれないね。まずはカバーレターについて、一緒にみてみよう。
若手研究者B
若手研究者B
(ため息をつきながら)はい…

 

海外の研究ラボにコンタクトを取っていく際、一番初めに見られるのがカバーレターです。

このことから、この一通の手紙は、あなたの研究キャリアを大きく変えるポテンシャルを秘めていると言っても過言ではないでしょう。

だからこそ、研究留学を目指す上では、カバーレターは気合を入れて書かないといけません。

 

私はこれまで、様々な若手研究者のカバーレターを添削・評価してきました。

今回はこの経験を生かし、そのライティングの秘訣を皆さんに余すことなくお伝えしたいと思います。

この記事では、私が実際に書いたカバーレターも見本として掲載しているので、ぜひ参考にしてみて下さい。

それでは、重要なステップを見ていきましょう!

 

と、その前に!ここで言う「カバーレター」とは、研究留学の際にPI(主任研究者)に送る自己紹介とアピールを目的とした文書のことを指します。

他にも、アプリケーションレター, Personal Statement, Statement of Purpose (SOP), 自己推薦文, 送付状、添え状など様々な呼ばれ方をしていますが、この記事では「カバーレター」という表現を統一して使いたいと思います。

 

第一パラグラフ

まず、最初の段落では、簡潔に自己紹介を行い、ポスドクポジションを目指して手紙を書いていることを伝えましょう。

また、PhDをいつ取得したか、もしくは、いつ取得予定であるかも明記して下さい。

過去にPIとの交流があった場合、それもここで触れておきましょう。

私は2つのラボに手紙を送りましたが、そのうちの一人のPIとは東京で一緒に飲んだばかりだったため、そのことを書いておきました。ま、返事なかったけど。

このパラグラフでは、どこのラボ出身か、プロジェクトのタイトルや大まかな内容、論文の状況についても簡潔に触れていいですが、これらの内容は第2パラグラフ以降に持ち越しても構いません。

第1パラグラフの例文

I am writing to express my keen interest in the postdoctoral position at your esteemed laboratory at the University of —-. My name is —-, and I am nearing the completion of my doctoral studies in the field of —- at —- University, under the guidance of Dr. —-. I am proud to say that my first author manuscript, titled “—-,” is currently under revision at —- and is also available on BioRxiv. I anticipate graduating by —-.

 

第2パラグラフ

次の段落では、これまでの研究成果を具体的に紹介します。

どのような実験モデルや手法を用いたか、研究がサイエンスにどのように貢献したかを説明しましょう。

第2パラグラフの例文

In my graduate studies, I have focused on —-. Our approach involved the use of —-, which effectively mimic human disease in terms of —-. Through this research, we discovered —-, contributing significantly to the understanding of —-. Additionally, I played a key role in establishing analysis pipelines for —-, paving the way for the development of —-. Utilizing this advanced tool, we successfully identified —-.

 

第3パラグラフ以降

ここからは様々なストーリー展開が出来ます。

順不同でいいので、以下の要点を含めるようにしましょう。

プロジェクトから得たもの

ここでは、新しい技術の習得や特定の疾患に関する深い理解など、研究を通じて得た具体的なスキルなどを挙げます。

長期的なキャリア目標

ポスドクとしての経験を通じて、どのようなキャリアを描いているかを明確にします。

また、あなたの研究分野における将来的な目標やビジョンを示しましょう。

ラボ選択の理由と適合性

手紙を送ったラボを選んだ理由を詳しく説明し、そのラボでどのように貢献できるかを強調します。

また、あなたの専門性がラボの研究とどのように合致しているかも示しましょう。

 

(以下、オプション)

ラボメンバーとの事前連絡

事前にラボメンバーとコンタクトを取っていた場合は、そのことに言及しておきましょう。

あなたが真剣にそのラボに行きたいことがアピール出来ます。

フィールドチェンジを目指す場合

ポスドクから研究分野を変える場合、その理由を理論的に説明する必要があります。

例えば、研究者としての視野を広げるため、独自の視点を持ったPIになるため、または、PhDの研究を通じて新たに興味を持った分野に挑戦するためなどが理由として挙げられます。

助成金の獲得や教育経験

これらの特記すべき経験があれば、取り上げて下さい。

海外学会への参加

もし近い将来で国際学会に参加する予定があれば、それを書いておきましょう。

PIと話すチャンスをゲット出来るかもしれません。

 

最後のパラグラフ

最後のパラグラフは、礼儀正しく締めくくりましょう。

簡素に終わってもいいですが、以下の項目を追加しても構いません。

  • ポジションを獲得したあとに、フェローシップに応募する意向があること。
  • CVと論文を添付していること。
  • 推薦者3人の名前と連絡先(この情報はCVの最後に載せてもいいです)。

 

最後のパラグラフの例文

Thank you for your consideration. If you have any questions, feel free to contact me.

Sincerely yours,
Cork31 MD, PhD

 

見本

この見本は、私が大学院3年目の時に書いたものをAIを使って改変させました。

いま読み返すと、私が帰国子女であることは書いても良かったかもしれません。

また、研究内容についても、さらに詳細に掘り下げた方が私の専門性や研究への情熱をより効果的に伝えられたと思います*。

*私の見本を参考にして頂いた方は、この部分が特に抜けていることが多いので注意して下さい。

 

MDへのアドバイス

これまで、色んな方のカバーレターを添削してきましたが、特にMDの場合、臨床の業績を少し強調しすぎている方が多いように思いました。

基礎研究を主体とする留学を目指す場合、たとえ臨床研究などの業績があるとしても、それらの内容は適度に留めておくべきです。

一般的にポスドクは、Principle Investigator(主任研究員)になる前の最終トレーニング期間と位置付けられています。

なので、カバーレターでは基礎研究者としてのあなたの資質を一番に強調しましょう。

一方で、MDの強みとしての「実臨床でのアンメットニーズの把握」「基礎研究から得られた知見を臨床に応用するアイディア」「臨床サンプルを用いた実験手法」などは研究において非常に魅力的です。

なので、このようなMDならではの視点やスキルは、カバーレターに書き加える価値は十分にあります。

 

Q & A

カバーレターをメールの本文にするか、添付ファイルにするか

これについては、メールに添付する方法が一般的なようです。

メール本文にはカバーレターの要約を記載し、「詳細は添付のカバーレターをご確認ください」と付け加えるのが良いでしょう。

ちなみに、私はカバーレターの文章をそのままメールに完全にコピペしました。

それでも採用されたので、厳密にはどちらでもいいと思います。

ですが、留学してから色んな人の話を聞くと、添付派の方が多いことに気が付きました。

 

最後に

以上が、カバーレターを書くコツの全てになります。

海外ラボに打診する際は、1つ1つをオーダーメードで、丁寧に、そして情熱を込めて書きましょう。

理想的には全体が1ページに収まると良いですが、最も重要なのは内容の質です。

完成したら、ぜひ同僚や上司に添削してもらい、フィードバックを受けましょう。肺がんの基礎研究に携わっている方であれば、私が添削しても構いません(以下詳細)。

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それでは、これらのアドバイスが皆さんの成功に繋がることを願っています。

最後まで読んで頂きありがとうございました!