呼吸器内科

もう迷わない!呼吸器内科研修で読んで欲しい書籍ランキング!

Navigating Pulmonary Medicine: Must-Read Books for Junior Residents

先日、呼吸器内科をローテートしている初期研修医の先生から「呼吸器内科のおすすめの本は何ですか?」と聞かれました。

この質問からアイディアを頂き、今回は呼吸器内科の研修を有意義にしてもらうためのオススメの書籍について記事を書こうと思います。

 

呼吸器内科全般

1. 長尾大志「レジデントのためのやさしイイ呼吸器教室 ベストティーチャーに教わる全29章 第3版」日本医事新報社.

複数の医局員に尋ねまわったところ、こちらが最も上位にランクインしました。

確かに、初期研修医の先生に呼吸器内科全般の知識を浅く広く知ってもらうための一冊を選ぶとすれば、この本になると思います。

初期研修医の先生にも知っていて欲しいメジャー疾患の説明が分かりやすく説明されており、さらには、レントゲン読影についても書かれていてオススメです。

2. 倉原優「呼吸器診療 ここが分かれ道」 医学書院.

こちらはご高名な倉原先生が執筆された本です。

ありふれた咳、痰についての病態説明から、処方、手技のコツ、さらには、やや専門的な間質性肺炎まで幅広くカバーされています。

呼吸器内科のメジャー疾患を少し掘り下げて解説されており、読者の対象としては、後期研修医の先生がちょうどいいように思います。

こちらの本がとても良かったので、次に登場する「寄り道」も私は購入しました。

3. 倉原優「寄り道 呼吸器診療-呼吸器科医が悩む疑問とそのエビデンス」シーニュ.

こちらは前述の「分かれ道」と比較すると少しコアな内容ですが、呼吸器内科医にとって重要な臨床上の素朴な疑問にエビデンスをもって解説しています。

ひたすら王道を解説していく他の本とは一線を画しており、とても面白かったです。

恐らく、呼吸器内科を専門にした先生が読むといいかもしれません。

4. 倉原優, 林清二「ポケット呼吸器診療」 シーニュ.

こちらも倉原先生の本になります。

ポケットサイズで呼吸器内科全般の知識が小さい文字でびっしり書かれています。

私はこの本は持っていませんが、多くの呼吸器内科医が携帯用として持ち歩いていたので、ランクインさせました。

毎年出版されており、肺癌の治療プロトコールなども記載されているようです。

病棟ですぐに調べる時は、重宝すると思います。

 

肺癌関連

私は肺癌が専門なので、当然ながら多くの肺癌の本を読んできました。

そのため、少し主旨からは外れますが、こちらのトピックも作りました。

ここではランキング形式ではなく、内容別にオススメの本を紹介します。

 

<肺癌診療>

弦間昭彦「肺癌診療Q&A 一つ上を行く診療の実践」中外医学社.

肺癌のスタンダードな治療方針は、日本肺癌学会の「肺癌診療ガイドライン」を確認することは当然のことながら、この書籍ではガイドラインには載っていないような症例についても記載があり、オススメです。

皆さんもご経験の通り、目の前の患者さんにとっての最適治療は、治療経過合併症の有無、さらには、患者さん本人の価値観など、幅広い要素が関わってきます。

そのため、Performance Status や Stage のみで治療方針を決めるのは困難であり、全人的に患者さんを把握する必要があります。

この本では色んなケースの対応策が書かれており、通読したことで肺癌の臨床レベルが少し上がったように思います。

話は逸れますが、肺癌診療は日進月歩なので「肺癌診療ガイドライン」は日々更新されています。

そのため、「肺癌診療ガイドライン」はその都度ネット上で、確認するのがオススメです。

 

抗がん剤の副作用対策>

岡元るみ子, 佐々木常雄「がん化学療法副作用対策ハンドブック 第3版〜副作用の予防・治療から、抗がん剤の減量・休薬の基準、外来での注意点まで」羊土社.

新しい抗癌剤を使う時は、そのレジメン特有の副作用対策を必ず確認しておきましょう。

そういった時に、この本が役立ちました。

 

緩和ケア>

新城拓也「患者から早く死なせてほしいと言われたらどうしますか? (本当に聞きたかった緩和ケアの講義)」金原出版.

緩和ケアも肺癌診療における主治医の腕の見せどころです。

この本は単に最近のエビデンスや知見を網羅するだけではなく、実臨床で経験するような問題に臨床経験が豊富な筆者が分かりやすく答えてくれます。

私は緩和ケアの本もたくさん読みましたが、自分にはこの本が一番しっくりきました。

具体的な処方例も書かれており、実臨床ですぐに役立ちます。

 

<基礎研究の初学者向け>

石川和宏「絵でまるわかり 分子標的抗がん薬」南山堂.

この本では抗体薬分子標的薬について、基礎レベルでの解説をしてくれます。

イラストが多く、説明も分かりやすいので、これから抗体薬や分子標的薬を扱う基礎研究を始める人には、オススメの入門書です。

 

最後に

今回は、呼吸器内科関連のおすすめ書籍について見てきました。

ご存じの通り、呼吸器内科は癌・アレルギー・感染症・膠原病・緩和ケア・気管支鏡・人工呼吸器管理・肺機能検査など学ぶことが多岐に渡り、最初は学ぶことが多くて大変です。

しかし、一生をかけて勉強していくとなると、扱える疾患が幅広くてとても楽しいです。

まずは、浅く広く全体を学び、興味があるところは掘り下げながら勉強して、その楽しさの一端を経験して欲しいと思います。

 

ちなみに、呼吸器内科の魅力について熱く語った記事もあるので、興味がある方はぜひ一読下さい。

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以上、最後まで読んで頂きありがとうございました。